第15回音楽療法世界大会報告2

【参加・発表】  MMT 前橋

「MMTがやっている地域での音楽療法を、世界大会のラウンドテーブルで発表しましょう」との衝撃的な電話を藤本先生からいただいたのは、2016年の6月。2017年に入ってからは毎月、一緒に発表する先生方と集まって意見交換を行い、1人でない心強さとともに責任の重さもひしひしと感じながら当日まで準備を重ねました。初めてのパワーポイント、しかも英語での発表ということで不安でしたが、当日は、部屋いっぱいにお集まりいただき、MMTの「社会資源としての音楽療法」の特徴であるエンパワメントの循環とその意義について、国内外の多くの方々に知っていただくことができたと感じてうれしく思いました。コミュニティ音楽療法の第一人者として世界的に知られるシュティーゲ氏から「日本でこのようなしっかりとした音楽療法の実践が行われていることを初めて知った」とのコメントをいただき、日本で世界大会が開催されたことは、日本の音楽療法の現状を広く知っていただく素晴らしいチャンスになったのだ、と再認識しました。
また、5日間にわたる開催期間中には、私は18コマに及ぶ講義やワークに興味をもって出席し、世界の様々な音楽療法についての話に触れることができました。
次回3年後の世界大会開催国である南アフリカ共和国は人口5500万人、認知症患者が220万人、それに対し認定音楽療法士は全国に50人しかおらず、職業としての雇用がなく自営業だとのこと。公用語が11もありアパルトヘイト撤廃後も社会の分断によって社会的資源が不足している状況のなかで、音楽療法士たちが熱意をもって人間中心ケアの音楽療法を行っていることを知り、希望を感じました。国や地域によって状況は異なっていても、音楽療法のニーズや実践の報告、そして音楽療法士たちが語る真摯な思いや願いには、世界共通のものを強く感じました。世界中でさらに音楽療法の力や専門性が認められ磨かれて、音楽療法士という職業が社会的ポジションを得られる日が来るよう、頑張りたいと思いました。
(記 前橋)


↑写真 ラウンドテーブル発表後 会場外で、発表者6名、通訳の方、発表を聞きに来てくださった方々と一緒に

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