第28回MMT「音楽療法研修会 高崎」
活動報告

2024年6月30日に「音楽療法研修会高崎」をオンラインで開催いたしました。
今回は、「音楽療法を音楽の視点から考える」をテーマに 14名の方が参加されました。
改めて音楽の視点で考えるということは、音楽療法でできること、音楽療法士だからできること、音楽療法士でなければできないことなどを、より深く突き詰めることに繋がり、今後に活かされることとして話し合われました。
話題提供者による実際のセッションビデオを観察し、楽曲、楽器を使用した理由や目的を述べた後、参加者全員で、楽曲の構成は、楽曲自体が持つ目的は、アレンジの目的は等々、疑問や、アドバイスなど話し合われました。
その後、3グループに分かれ、それぞれ自身のセッションなどを踏まえた話し合いがされました。あるグループの話し合いの中で、音楽療法現場で実践していることに対して、「これって誰でもできるよね~」と行き詰ったところ、当グループに藤本先生が参加され、♪故郷の曲の伴奏について次のように述べられました。「伴奏の形はいろいろあるけれども、今ここにいらっしゃるクライアントにとってはどんな伴奏が必要か、合っているか、それを即時判断し、対応出来るのが音楽療法士では」と投げかけられ腑に落ちたこと。即応性然り、当たり前のように行っていることでも、常に意識して説明する力が必要であること、今まで以上に音楽療法士としてあるべき姿勢に気づいたことなど、前向きに振り返る機会となりました。また一音の意味、楽曲の背景を知ることの意味、音楽を使って気づきを伝えるなど、改めて音楽を語る時間となりました。
難しいテーマでしたが、アンケートでは「音楽療法士だからこそ、これができるという強みや必要性、役割などを明確化することの大切さも考えながら、今後のセッションに向き合いたいと思います」とのお声をいただきました。(記 平井)

次回の研修会は2025年1月19日(日)に対面形式で開催予定です。
皆さまのご参加をお待ちしております。

第18回MMT「音楽療法研修会 武蔵野」
活動報告

1月28日に第18回MMT「音楽療法研修会 武蔵野」がオンラインにて行われました。
「Thの声かけ・ふるまいの工夫について~自分の対応を振り返る」をテーマに12名の方が参加されました。

昨年度より虐待防止研修が義務付けられ当研修担当の1人が受講した際「グレーゾーン」に当たる例として「~~しないと〇〇できないよ」という言い方が紹介されました。音楽療法場面でも思い当たることがあるため、自身の声かけ、ふるまいについて振り返り、適切な声かけ、ふるまいについて考えてみようと今回のテーマとして取り上げました。

まず研修担当がテーマの取り上げられた経緯を説明し、職場で受講した虐待防止研修の内容、研修を受けたことによる臨床場面での声かけやふるまいに対する迷いや意識の変化などが問題提起されました。その後、音楽療法や対人支援場面におけるグレーゾーンにつながりそうな「小さなできごと」を共有し、少人数のグループにわかれグループディスカッションを行いました。
後半は、上記であげられたことの中からそれぞれグループごとに具体的な対応案について話し合い、その後全体でシェアして意見交換を行いました。グループディスカッションでは参加者それぞれの視点や経験から意見が出されました。また全体でシェアすることによりグループ内では出されなかった意見があがることで視野が広がったり、あげられた案に同意を得たりと話し合ったことを共有することができたと思います。

参加者の方からも「虐待ということを考えるきっかけになった」「セッションの目的や意味をしっかり持ってやっていくことが大切だと感じさせられた」「自身の声かけ、対応ごどうだったか話し合うことが今後につながると思った」などの感想が聞かれました。

今回の話し合いでは、セラピストとクライエントとの関係性だけでなく第3者からの視点も踏まえて自身の声かけやふるまいを考え対応をすることも必要なのだと考えさせられました。このことを念頭におき今後のセッションに活かしていけたらと思います。

次回のMMT「音楽療法研修会 武蔵野」は皆さまのご要望もあり、対面で音や音楽を取り入れたテーマを予定しております。

次回第19回MMT「音楽療法研修会 武蔵野」は2025年1月19日(日)に対面形式で開催予定です。詳細は決定次第お知らせいたします。
(記 小林)

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MMT「音楽療法研修会」概要をご覧下さい。

第27回MMT「音楽療法研修会 高崎」
活動報告

2023年8月20日に第27回「音楽療法研修会 高崎」をオンラインで開催いたしました。
今回はMMT研修会初めての試みとして、外部から講師をお呼びしての研修会でした。
講師の福山和女先生(ルーテル学院大学名誉教授、社会福祉学博士)、岸千代先生(ルーテル学院大学)は、ソーシャルワークの専門家で、ソーシャルワーカーの視点から「対人援助職としての在り方を学ぶ」をテーマに、グループスーパービジョン形式で行われました。

参加者は会員以外の方々も多く、兵庫県、神奈川県、東京都、静岡県、埼玉県、香川県、山口県、群馬県、茨城県、と全国から参加していただきました。

研修会は参加者の自己紹介から始まり、次に事例提供者による事例紹介へ移行し、福山和女先生、岸千代先生によるスーパービジョンが開始されました。先の自己紹介、そして事例に対する質疑応答の時点から既に福山先生の鋭いご指摘と、いつ福山先生に指名され意見を求められるかと、参加者の皆様はドキドキしながらも、【尊厳】についてなど内容の深さと、福山先生の人間味ある温かさと、時に笑いも起こる中、自然と没頭していきました。そして振り返りの時間では、スーパービジョンのニーズとしてお示しいただいた5つの側面から、それぞれが選んだ側面とその根拠を各自述べ合いました。それはこれまでの自分自身を振り返り、また認める機会となったのではないかと思います。終了後のアンケートでも、「自分を受け入れ、自信を持つことが大切であることを学んだ」「今後仕事をしていく上で勇気、元気をいただきました」「背中を押された感じがします」などの記載が多くありました。また、「講義を受けるのではなく、参加者一人ひとりの意見を吸い上げて、やり取りの中で考えさせられることが多かった」などと、福山先生の対人援助職としての在り方、姿勢と共に、スーパービジョンの方向性を学んだ貴重な時間でした。音楽療法セッションの振り返りだけでなく、相互関係の中で人としての振り返りができ、研修会としてもこれまでにない経験の場となりました。

お忙しい中、当研究会に講師としてお引き受けいただきました福山和女先生、岸千代先生、研修会に参加してくださった皆様に感謝申し上げます。
今後も皆様とご一緒できることを楽しみに、ご参加をお待ちしております。
(記 平井)

第17回MMT「音楽療法研修会 武蔵野」
活動報告

1月29日に第17回(2022年度第2回)MMT「音楽療法研修会 武蔵野」がオンラインにて行われました。「臨床にまつわる困りごとなどを共有してみませんか?」をテーマに13名の方が参加されました。

参加者の方には①「援助者(同僚、他職種、保護者等)との関係について」②「クライアントの特性への対応について」③「自分が思う音楽療法士の在り方について」の3つのテーマから事前に選んでいいただき、各々が感じている臨床にまつわる困りごとを少人数で話し合いました。
話す際には3つのグランドルール「話した分だけ聞こう、聞いた分だけ話そう」「お互いの立場を尊重し、同じ目線で話そう」「解決しようとあせらない」を設け、グループと全体での話し合いを2回に分けて行いました。

各グループでは、自分がどんなことに困っているのかを話し、それに対して耳を傾け、お互いに質問をしたり考えを伝えたりしました。全体でシェアし、他のグループの方からの声も聞き、その後再度グループでの話し合いをすることで、より深く対話を重ねたり、新たな視点で話し合うことができました。
①「援助者(同僚、他職種、保護者等)との関係について」のグループでは『依頼主の要望にどこまでこたえられるか、どのようにこたえていくか』『依頼者や雇用主の考え方と現場の音楽療法士の考え方の違いについて』、②「クライアントの特性への対応について」では『グループセッションでクライアントの個人差に対してどのように対応したらよいのか』『クライアントからの問いに対してどのようにこたえたらよいのか』、③「自分が思う音楽療法士の在り方について」では『現場から離れてしまっている不安』などがあげられました。
グランドルールの1つ「解決しようとあせらない」について、最初は戸惑いを感じられる参加者の方もいらっしゃったようでした。しかし、自分の思いを話すことだけでなく、他者の思いを聞くことを通して、自分の体験と重ね合わせて充分に感じ、考え、何らかの気づきにつながったように感じられました。
参加者の方からは「困りごとについて話すことで考える道すじができた」「気持ちを言葉にすることができてよかった」「話を聞くなかで気づきがあった」などの感想が聞かれました。

今回のテーマは以前から要望が上がっていた内容でした。このように参加者の方の声にこたえ、参加することで何かしらの気づきを感じていただけるよう今後の研修会も行っていきたいと思います。

(記 小林)

次回第18回MMT「音楽療法研修会 武蔵野」は2024年1月に開催予定です。詳細は決定次第お知らせいたします。
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第26回MMT音楽療法研修会 高崎
活動報告

2022年6月26日にオンラインで開催いたしました。
今回は、「動画観察記録起こしをもとにしたピア・スーパービジョン」をメインに行い、その後、「コロナ禍での児童の発語獲得についての意見交換」を行いました。
参加者は13名で、グループに分かれることなく全員でグループ討議や意見交換を行なうことができました。

まず最初に、MMT会員が実際に行なっている児童のセッションを短く区切って編集した動画を繰り返し詳細に観察し、記録を作成する作業に取り組みました。大変集中を要する作業でしたが、クライアント、セラピスト、ピアニストのそれぞれの動きやその関係性に注目して記録を書き出し、そのセッション場面を音楽療法士の視点でどのように考察するか、まず各自が考えました。
そして次に、そのセッションを行った会員と動画観察をした参加者とのピア・スーパービジョンへと展開していきました。
「ピア・スーパービジョン」は、仲間同士がスーパーバイザーになり助言し合うグループ討議の方法で、具体的には、発表者が抱えている課題や悩みの共有、ねぎらい、提案という流れで、参加者が平等な立ち位置でお互いに敬意を払いながら意見を出し合います。今回、とても温かな安心できる雰囲気に包まれながら、発表者も参加者もお互いに学び合うことができたと実感できたようで、参加後のアンケートで「またピア・スーパービジョンに参加したい」との声が多かったことが印象的でした。

その後、コロナ禍での音楽療法の困りごとの一例として、「発語獲得を目指したセッションでの制約とセラピストの迷いについて」の話題提供と意見交換を行いました。皆さんコロナ禍でそれぞれに苦労をされているので、短い時間でしたが有意義な意見交換となりました。

MMTの研修会は、外部講師の講義でなく、会員たちの研修チームによる完全な手作り研修なので、企画者側も参加者側も楽ができません。私は企画者として参加しましたが、今回も大変に疲れました。でも、研修を終えたとき、音楽療法という奥深い世界を共に探検しそれぞれがそれぞれに何かを発見し合ったような、すがすがしい連帯感を覚えました。
研修に参加してくださったすべての方に感謝申し上げます。 
また、今後もこの研修会でいろいろな方々と出会えますことを楽しみにしております。
                                  (記 前橋)

第25回MMT音楽療法研修会 高崎
活動報告

令和4年1月23日に第25回MMT「音楽療法研修会 高崎」が、オンラインにて開催されました。
「プログラムの背景となる理論を学ぶ」をテーマに、東京、群馬、埼玉、福島、静岡から14名の方が参加されました。
このテーマに至った趣旨は、6月に開催されたMMT研修会での事例発表者が、参加者の皆様から「なぜ、そのような手順で関わったのですか?その理論的背景は?」などの質問に的確に答えることが出来なかったことから、何故この活動をするのか、どうしてこの曲や楽器を使うのかなどを説明する力、そして実際のセッションの取り組みが、どのような理論に基づいているのか、意見交換をしながら学びあうという趣旨で行われました。

今回の研修会では、話題提供者から、マリンバを使用した音楽療法セッションで、児童が次の曲を選ぶ際に「簡単な短い曲、聴いたことのある曲ばかり選んでしまう。長い曲や新しい曲にチャレンジするにはどのように取り組んだらよいか」という課題が提示されました。この課題について、3つのグループに分かれ、課題に合った取り組み方、その取り組み方はどんな理論に基づいているのかを話し合い、グループ毎に話し合ったことを参加者の皆さんでシェアをしました。
1つ目のグループは、ジャンルを広げる、また今までの曲をアレンジによって広げたらどうか。2つ目のグループは、その児童が視覚優位であると思われるので、新しい曲について見通しを持てるように曲を聴かせて選ぶのではなく、楽譜を見せてみてはどうか。3つ目のグループは、自信のなさに注目し、まずは自信を育てるために、縦に進める(レベルを上げる)だけではなく、横に広げるような課題(同程度レベルの曲を複数繰り返す)の提示が必要ではないかなどの意見が出されました。
理論としては認知行動療法、発達理論、人間主義的心理学などが提案されましたが、セッションにおいては、一つの理論からだけではなく、いろいろな理論が重なっていること、また自分の考えを持つ、そしてその考えを説明できる力をつけることの必要性を実感した研修会となりました。
アンケートには、セッションの振り返りや、音楽療法の基本を振り返る機会になった。事例を深く掘り下げて考える方が多く刺激になった。「プログラムの背景となる理論を学ぶ」という今回の研修会テーマを深めて欲しかった。難しい内容であったため、求められていることや、どこに注目して良いか理解しにくかった等の記載がありました。
今後の研修会運営に課題をいただきました。

コロナ禍の中、オンラインでの研修会は「研修会 高崎」では2回目、MMT開催の研修会としては4回目の開催となりました。
当研修会は、参加者全員一人ひとりが考えて発言することを主としています。
皆様のご参加をお待ちしております。
(記 平井)

第16回MMT「音楽療法研修会 武蔵野」
活動報告

6月27日に第16回(2021年度第1回)MMT「音楽療法研修会 武蔵野」がオンラインにて行われました。「事例発表/事例をもとにしたロールプレイ」をテーマに17名の方が参加されました。

事例発表ではポスター発表「音への気づきを手がかりに対人関係に改善が見られたASD児」と口頭発表「知的障害A氏のタイコの打音に及ぼすピアノの弾き方の工夫」の2事例が発表されました。ポスター発表10分間、口頭発表15分間の後、それぞれ30分間の質疑応答の時間を設けました。質疑応答では、様々な質問があがり、意見が交わされました。発表者の方からは、事例をまとめるにあたり、言語化することの難しさを実感したとの感想がありました。

次に4〜5名のグループにわかれ事例をもとにしたロールプレイの話し合いを行いました。口頭発表の内容をもとに「”打点のしっかりした連打”を促すピアノ」について取り上げました。
グループの話し合いでは、まず事例で使用された楽曲を用いて「メロディーのみ」「拍のみ」「メロディー+拍」をセラピスト役がピアノで弾き、クライエント役がタイコを叩きました。それらをもとに様々なアイディアを出し合い、音を出し体験しながら話し合いました。
発表では、それぞれのグループで話し合ったことを説明しロールプレイを行いました。1つ目のグループでは、打点の連打に注目し、ベース音とメロディのバランスについて工夫しました。2つ目のグループでは、拍を刻むことで叩き続けやすくなることに注目し、拍を強調してピアノを弾く工夫をしました。3つ目のグループでは、拍(ベース)を強調することに注目し、メロディとベース音の音域を広げるなどの工夫をしました。

ロールプレイについて参加者の方からは「ピアニスト役とクライエント役のそれぞれの立場からは音楽の聴こえ方が違うことに気付かされた」「セラピストとして、活動をどう展開していくか、提供していくかすり合わせが大切だと思った」「どのように叩いてもらうかによって、伴奏やタイコの提示がかわるのだと思った」などの感想が聞かれました。

当研修会では、事例発表の際、質疑応答の時間を長く設け、じっくりと話し合い、意見交換ができるよう心掛けています。参加者の方からも「考える時間が持ててよかった」「事例に対する質問、視点が勉強になった」という感想が聞かれ、当研修会で事例発表をしたいという声も聞くことができました。

今回もオンライン越しでありましたが、参加者の皆さんと顔を合わせ話し合う機会を持つことができよかったと思います。
今後も参加者の皆さんの声に応えられるよう研修会を行っていきたいと思います。
                                  (記 小林)

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第24回MMT音楽療法研修会 高崎
活動報告

令和2年11月22日に第24回MMT「音楽療法研修会 高崎」がオンラインにて開催されました。高崎研修会では初の試みzoomを使用するにあたり、9月に武蔵野研修会で行われた活動を参考にして、スタッフの方々に様々協力をいただき実施することができました。オンライン開催という事で、遠方の方も参加しやすく武蔵野研修会からのメンバーや初参加の方を含めて、多くの方と交流を深めながら、総勢12名の方と学び合いました。

今回のテーマは「オンラインセッションを体験してみよう」で、コロナ禍で対面での活動が難しい状況下となりましたので、zoomを使って、オンラインバージョンで行いました。武蔵野研修会は、元気な高齢者のグループセッションの実際を体験的に学びましたが、今回は児童の個人セッションの学びでした。実際にリーダーやクライアント役を体験し、さまざま考察いたしました。歌唱活動で「こんにちは」、身体活動で「大きな栗の木の下で」、楽器活動で「音のシンフォニー」の楽曲を用い、zoomで小部屋に分かれてグループでの話合い、活動を考えてロールプレイでの体験は、オンラインセッション初めての方も多く、試行錯誤をしながらの取組みでしたが、実際にやってみて気づくこと、わかることがたくさんあり、実践をすることの価値をみなさんが再認識してくださいました。また藤本先生より、現在行っているオンライン個人セッションの動画を観ながら、解説を伺うことが出来きて、実際の様子も分かり知ることができました。

参加者から、「オンラインでは、画面の映り方、視線、声の大きさ、身体の動かし方など、対面とは違う事が実際に行う事で感じることができた。」、「子どもの個人セッションでは、アシスタント役のお母さんの役割が重要となり、その経験を子どもへの日常の対応に般化させることにもなるという利点を知ることができた。」などの感想をいただき、今回のオンラインセッションを体験することで、新しい発見と共に、工夫次第でさまざま活動が出来ることがわかるなど、音楽療法の理解をさらに深め合うことができました。これからオンラインセッションを始めてみたいという方もいらして、大変有意義な研修会になりました。

開催にあたり、準備等で様々ご協力いただきました武蔵野研修会のスタッフの方々、参加して下さったみなさま、本当にありがとうございました。
今回も大変お忙しい中でご指導くださいました(理事長)藤本先生には、心より感謝申し上げます。(記 稲葉)

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第15回MMT「音楽療法研修会 武蔵野」
活動報告

9月20日に第15回(2020年度第1回)MMT「音楽療法研修会 武蔵野」がオンラインにて行われました。「ロールプレイを通してオンライン音楽療法セッションについて学ぼう」をテーマに16名の方が参加されました。

今回の研修会では、お元気な高齢者グループのオンラインセッションでの歌唱活動において、“皆で一斉に歌うと音がずれる”という条件の中、セッション参加者からの「全員で一緒に歌いたい」という要望を叶えるために、一体感、達成感、所属感が得られるよう、どのような工夫ができるかを、3つのグループにわかれ話し合い、発表をしました。

まず最初に、オンラインでの全員同時歌唱を体験しました。1度目は音をミュートにして歌い、2度目はミュートを解除して歌いました。ミュートにして歌うとセラピストのピアノに合わせ1人で歌っているように感じられました。ミュートを解除するとそれぞれに時間差が出てきて歌声にずれが生じましたが、音はずれていても人の声が聞こえる安心感がある、ずれる不安もあるが皆で歌いたいと感じた、など感想が聞かれました。

グループの話し合いでは、どのようにしたらずれを気にせずに歌い一体感などを得られるか、そのためにどのような工夫ができるかを考え、様々なアイディアを出し合い、実際に行いながら話し合いました。
発表では、それぞれのグループで話し合ったことを説明しロールプレイを行いました。1つ目のグループでは、音楽の伴奏に焦点が当てられていました。速いテンポ、大きな音はオンライン上では伝わりにくいということから、ゆっくりのテンポで平坦に伴奏の音も少なくすること、またセラピストはリズムを身体で大きくとり相手に伝えるようにする、などがあがりました。2つ目のグループでは、視覚的な補助について焦点が当てられていました。セラピストの口元を見ながら歌うとずれが少なく感じた、また、視覚からの情報としてリズムに合わせ身体を揺らすというアイディアには身体の動きが気になり歌に集中できなかった、などがあがりました。3つ目のグループでは、参加の仕方に焦点が当てられていました。画面から目をそらして歌ってみたが、よりどころのなさを感じた。声の大きさを変えてみたが大きいと他者の声が聞こえず、小さいと鼻歌のように感じた、などがあがりました。また歌詞を画面に出し、歌詞を指差しで歌ってみると、勉強的になってしまう感じがしたが、よりどころが少しはできた感じがしたなどがあがりました。

今回の研修会ではオンラインセッションを取り上げロールプレイを行いましたが、オンライン上での問題点や対面でのセッションとは違う点などを実際に体験することができ、考えることができました。
参加者の方からはオンラインセッションは難しいと感じたと前置きがありながらも「話し合いの中で色々試せたことがよかった」「皆で歌うことの楽しさが再確認できた」「色々なコツや工夫で、できないことはないように思えた」などの感想が聞かれました。

今回、MMT初のオンライン研修会を開催しました。現在、集まることが難しい中、オンラインで行い、参加者の方も顔を合わせることができよかったというお声をいただくことができました。今後も対面、オンラインと状況に合わせ開催を考えていきたいと思います。
(記 小林)

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第14回MMT「音楽療法研修会 武蔵野」
活動報告

1月26日に第14回(2019年度第2回)MMT「音楽療法研修会 武蔵野」が武蔵野市民会館にて行われました。「ピアノ伴奏について考えよう~歌唱活動・身体活動~」をテーマに15名の方が参加されました。

初めにウォーミングアップとして、ピアノを弾く時の心持について、どのようにクライエントのために音を出すことができるかについて体験をしました。参加者全員でピアノの周りに円となり順番に1音ずつ出していきました。最初は何も考えずまず音を出すことから始まり、だんだんと「前の人の音を聴いてつなげて音を出す意識を持つ」「前の人の音につなげ、次の人につなげる意識を持つ」「部屋の大きさを見て、部屋全体に響くことを感じて音を出す意識を持つ」などテーマが提示され、それを自身で意識しながら音を出し合いました。このウォーミングアップでは、それぞれの意識の持ち方や音への感じ方で音の大きさや、長さ、弾く時のタッチの重さ、響きの柔らかさなどに違いが出てくることに耳を傾けました。

次に児童2グループ、高齢者1グループにわかれロールプレイを行いました。今まではグループごとにロールプレイを行い、その結果を発表してきましたが、今回は当研修会では初の試みの、『グループでのロールプレイを他グループの前で行い発表までの過程を見てもらうという公開スタイル』の形で行いました。
まずグループで「ピアノ伴奏について臨床場面で困っていること」を話し合い、悩みなどを共有し、ロールプレイで取り上げる内容を選びました。その後、グループごとにロールプレイを行いました。ロールプレイでは内容についてどのような工夫ができるか、どのように考えられるかなど話し合い、ピアノを弾いて試してみながらアイディアを出し合いました。また今回は公開スタイルということで、グループ内で話が行き詰った時は、他グループの方たちに意見を求めることもできました。
児童グループ①では「伴奏の付け方がワンパターンになりがち」ということについて話し合われました。「雪」に伴奏をつけお互いに弾き合い、音域を移動させて弾く、弾き方(軽やかに弾く、なめらかに弾くなど)を変えてみるなど意見を交わし合いました。
児童②グループでは、悩みを話し合いその中から伴奏コードの付け方や、コード(音)の選択の仕方について話し合われました。また、即興場面でクライエントが弾く音に対してセラピストが何を感じとりどのように音を付けていくかという話があがり、これには他グループの方にモデリングを行ってもらいました。
高齢者グループでは「埴生の宿」を使用し、弾き方による違いを体験し、そこから伴奏付けの工夫について話し合われました。歌いやすくするためにはブレスの部分でピアノの音を減らす、少しシンプルな伴奏の方が良いかもしれないなどの意見がでていました。

今回の研修会では、ピアノ伴奏に対してピアノは苦手だからと思うのではなく、どのように意識をして弾くか、その意識を自身へではなくクライエントに向けられるように考え、できることをしていくということが大切だとあらためて感じさせられました。
参加者の方からはウォーミングアップでは「1つの音だけれども目的を持つと心持が変わる」「自身がピアノに近づけたように感じた」またロールプレイでは「悩みを話し合う事で他者と共感することができてよかった」「自分の出す音に責任を持たなくてはならないと感じた」などの感想が聞かれました。

今回の研修会は公開スタイルのロールプレイを行うという初の試みでしたが、ピアノ伴奏に持つ悩みを参加者の方たちと共有することができ、これからピアノ伴奏に対する意識を少しでも変え臨床現場で生かすことができれば良いと思います。
(記 小林)

次回第15回(2020年度第1回)MMT「音楽療法研修会 武蔵野」は2020年9月20日(日)に行います。詳細は決定次第お知らせいたします。
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↑ウォーミングアップの場面です。「少し離れた位置に座っている方に音を届けるように弾く」というテーマに取り組んでいます。


↑ロールプレイの1場面です。話し合ったことを実際に行い、どのように工夫をしたら良いか案を出し合っています。


↑他グループのロールプレイを見ながら、参加者一人ひとりが考えています。