第15回音楽療法世界大会報告3

【ポスター発表を経験して】  MMT 平井・中山

世界音楽療法大会が日本で開催されるに当たり、藤本禮子先生より「ポスター発表に申し込んでみたら」とお勧めいただき、締切日まで数日しかない中で挑戦してみました。そして採択されたとの通知を受け、発表に向けての準備段階となりましたが、まだまだ8ヶ月先とゆっくり構え過ぎて、いざ本腰を入れたところ、日本語の選び方、日本語の解釈、日本語に合った英語選び等々困難が待ち受けていました。結局ポスターが仕上がったのが発表日の1週間前というドキドキの綱渡りでした。
世界大会には7月4日から参加し、最終日8日の発表日まで、時間があれば共同発表者の中山さんと打ち合わせをしながら過ごしました。その中でも、英語対応に必要な準備を念入りに取り組む中山さんの姿勢に、極まりなく頭が下がりました。
発表当日は、MMTの方々、静岡の仲間、関心を示された方々に内容説明をさせて頂きました。在籍時間内に外国の方に見ていただくことはありませんでしたので、準備した英語対応を発揮することなく終わってしまい、ちょっと残念な気持ちと、安堵の気持ちが交錯しました。
兎にも角にも今後経験することのない貴重な経験をさせていただきました。お勧めいただきました藤本先生に感謝です。そしていつも一緒に活動している仲間、温かく見守っていただきましたMMTの方々、そして快く翻訳を承諾下さいました西貝様、ありがとうございました。
(記 平井)


↑発表したポスター 


↑静岡の仲間と会場玄関で

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【参加・発表】  MMT 前橋

「MMTがやっている地域での音楽療法を、世界大会のラウンドテーブルで発表しましょう」との衝撃的な電話を藤本先生からいただいたのは、2016年の6月。2017年に入ってからは毎月、一緒に発表する先生方と集まって意見交換を行い、1人でない心強さとともに責任の重さもひしひしと感じながら当日まで準備を重ねました。初めてのパワーポイント、しかも英語での発表ということで不安でしたが、当日は、部屋いっぱいにお集まりいただき、MMTの「社会資源としての音楽療法」の特徴であるエンパワメントの循環とその意義について、国内外の多くの方々に知っていただくことができたと感じてうれしく思いました。コミュニティ音楽療法の第一人者として世界的に知られるシュティーゲ氏から「日本でこのようなしっかりとした音楽療法の実践が行われていることを初めて知った」とのコメントをいただき、日本で世界大会が開催されたことは、日本の音楽療法の現状を広く知っていただく素晴らしいチャンスになったのだ、と再認識しました。
また、5日間にわたる開催期間中には、私は18コマに及ぶ講義やワークに興味をもって出席し、世界の様々な音楽療法についての話に触れることができました。
次回3年後の世界大会開催国である南アフリカ共和国は人口5500万人、認知症患者が220万人、それに対し認定音楽療法士は全国に50人しかおらず、職業としての雇用がなく自営業だとのこと。公用語が11もありアパルトヘイト撤廃後も社会の分断によって社会的資源が不足している状況のなかで、音楽療法士たちが熱意をもって人間中心ケアの音楽療法を行っていることを知り、希望を感じました。国や地域によって状況は異なっていても、音楽療法のニーズや実践の報告、そして音楽療法士たちが語る真摯な思いや願いには、世界共通のものを強く感じました。世界中でさらに音楽療法の力や専門性が認められ磨かれて、音楽療法士という職業が社会的ポジションを得られる日が来るよう、頑張りたいと思いました。
(記 前橋)


↑写真 ラウンドテーブル発表後 会場外で、発表者6名、通訳の方、発表を聞きに来てくださった方々と一緒に

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新年明けましておめでとうございます。
本年が皆さまにとって実り豊かな年でありますようにお祈り申し上げます。

昨年7月につくば市で開催されました第15回世界音楽療法大会の報告が大変遅くなりましたが、ここに報告させていただきます。
藤本禮子から「報告1」として、実行委員としての開催準備・運営、及び個人の発表を。前橋からは「報告2」としてシンポジウム発表を。平井・中山からは「報告3」としてポスター発表を。全3回に分けて報告いたします。

【大会実行委員会としての活動】

ー第15回世界音楽療法大会日本開催決定までー
2013年 日本音楽療法学会理事会において、同大会開催地として立候補が決定され、誘致委員会が立ち上がりました。私はこの委員会のメンバーとなり、立候補の為のビデオ作成、提案書類作成などに関わり、翌2014年7月の第14回世界大会の地オーストリア、クレムスに出かけました。日本国内の学術大会では行われていない発表形式ラウンドテーブルを含め全ての発表形式とそれぞれの発表内容、イベントなどを見て回りました。
誘致のプレゼンテーションは加藤美知子氏が行い、オーストリア日本大使の応援演説もあり、クレムス大会最終日、日本開催決定がアナウンスされました。

ー実行委員会立ち上げー
帰国後実行委員会が立ち上げられました。詳細は以下の通りです。( )は委員長。
実務委員会(大会長:加藤美知子、実行委員長:村林信行、副実行委員長:今村ゆかり・小柳玲子、学会事務局)、プログラム委員会(藤本禮子)、国際関連員会(伊藤啓子)、編集委員会(実務委員会他が兼任)、運営委員会(高畑敦子)、渉外委員会(猪之良高明)、広報委員会(井澤文緒)、文化プログラム委員会(吉村奈保子)、JMTA事務局、運営事務局(KK東武トップツアーズ国際営業部)他国際サポートチーム22名、国際査読委員会(日本人5名、外国人14名)

ー準備開始ー
会場決定、WFMT(世界音楽療法連盟)会長、前々会会長招待、全実行委員会会議(13回うち2回は開催会場にて)が行われ、2015年11月アメリカカンザスにて開催されたAMTA大会に、日本大会開催アピールのために、行商のように大きなトランクに日本開催アピール用のボールペンをぎっしり詰め込み、開催会場で配りまくりました。2016年1月、演台応募開始され世界各地から全部で535演題が申請されました。国際査読委員会による査読の結果は以下の通りでした。詳細は、
口演発表:256本、ポスター発表:168本、シンポジウム:16本、ラウンドテーブル:23本、ワークショップ:53本 でした。

ー開催当日ー
参加者数は2,900名 その内訳は 日本人 2,204名(学会委員;881名)
参加国数は日本を含め48ケ国でした。その内訳は、USA:156 オーストラリア:92名 韓国:40名 香港:38名 英国:25名 イタリア:28名 ドイツ:34名 台湾:31名 タイ:30名 ノルウェイ:20名、そのほかインド、バーレーン、チリ、クロアチア、コンゴ、ガーナ、クウェート、ルクセンブルグ、ロシア、トリニダドトバコ、ザンビアでした。


↑集合写真


↑懇親会写真

プログラム委員会の仕事のうち大会前日の7月4日に開催された8本のプレセミナーについては、日本音楽療法学会誌第17巻2号に掲載されますのでそちらをご覧ください。

【発表について】


7月5日(水)17:00~18:30 藤本・前橋他5名で「A Community Music Therapy Plan of The JMTA ~REPORTS ON FIVE CASES~(日本音楽療法学会 音楽療法地域プラン)」というタイトルでラウンドテーブル形式の発表を行いました。当日までに10回のミーティングをしながら内容を詰めていきました。詳細はこの後更新予定の前橋美保の報告(第15回音楽療法世界大会報告2)をご覧ください。
また、7月8日、10:50~11:50 メインホールで、10数年間学会の資格制度に関わってきた藤本、郡司正樹氏の2名で「THE LICENSING SYSTEM FOR MUSIC THERAPIST OF THE JAPANESE MUSICTHERAPY ASSOCIATION HISTORY
~日本音楽療法学会音楽療法士資格認定制度の流れ~」というタイトルで口演発表を行いました。日本の音楽療法士資格認定制度を外国に知らせる事を目的として行いました。当日の参加者はあまり多くなく残念でしたが、1996年から2017年までの学会資格制度を整理することができたことは有益であったと思います。当日は通訳を依頼して日本語を英語に逐次通訳するという形式で行いました。
二つの発表は、WFMTのプロシーディングスに応募し採択されていますので、今後数年間WFMTのネット上で配信されます。

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第15回音楽療法世界大会
日本開催決定の瞬間!

2017年の第15回音楽療法世界大会日本開催決定が発表された瞬間の様子が
“World congress of music therapy(第14回音楽療法世界大会公式サイト)”からご覧いただける様になりました。
トップページ赤いスレッドのうちの一番下「LIVE STREAMS/VIDEOS」をクリック。移動後2つ目の動画「World Congress of Musictherapy 2014 Closing Ceremony」の50分頃からがその瞬間の様子です。

多くの拍手で迎えられ、感動的ですね。
誘致プレゼンテーション用の動画もそのまま録画されていますので、ぜひご覧下さい。
音楽療法が日本中に広がる大きなチャンスです。
大会開催に向け、気持ちを一つにしていけたら…と思います。
(記 藤本)

音楽療法世界大会について

「第14回音楽療法世界大会(14thWorld Congress of Music Therapy)」がオーストリアで開催され、MMT理事長の藤本が参加してきました。7日のプレセミナーはウイーンで、8日から12日まではウイーンから電車で1時間余りのクレムスのIMC University of Applied Sciences Kremsで、「Cultural Diversity in Music Therapy Practice, Research and Education(音楽療法の臨床と研究と教育における文化的多様性)」を大会テーマとして行われました。参加者は1,000余名で、ヨーロッパからの参加者がもっとも多く、日本からは私を含め20名余が参加しました。
大会中、毎日午前中はメインホールでスポットライトセッション、午後は数多くのワークショップ、口頭発表、ポスター発表が行われました。
私は、NPO法人MMTで取り組み始めた”地域に開かれた「音楽療法サロンGo」”の活動に関係のある「COMMUNITY MUSIC THERAPY」に関する発表を中心に聞いて回りました。様々な形態があり今後の発展の可能性を感じました。
また、大会での文化的プログラムとして、夜のドナウ川の船旅やホイリゲンパーティー、州知事によるレセプションなどがプログラムされていました。さらに日本から海外に留学している学生から「日本語で話そう」会が企画され、会場大学の学生寮に10数名が集まりました。私も出席しましたが、ホールで行われているRound Table「CULTURAL CONTEXTS IN MUSIC THERAPY EDUCATION AND TRAINING」に参加するために、様々な国にいる若い新しい仲間との今後のつながりを期待しつつ途中で退席しまししました。

そして、次回15回音楽療法世界大会が2017年7月日本で開催されることが決まりました!!
日本音楽療法学会では、世界大会招致委員会を結成し第15回音楽療法世界大会招致のためのBid Paper(申請企画書)の作成、プレゼンテーションの準備などを重ねてきました。大会開催中の7月8日(月)9:00から、日本駐オーストリア大使、村井靖児副理事長、加藤美知子大会招致委員長による招致の為のプレゼンテーションが行われ、日本開催が大会の閉会式で参加者の歓呼の声が響く中発表されました。

15回世界大会誘致プレゼンテーションの写真は“music therapy 2014(第14回音楽療法世界大会公式サイト)”からご覧頂けます。
トップページメイン下方のリンクバー4番目か左のカテゴリーから「picture gallery」に移動し、「tuesday」をご覧下さい。
(記 藤本)

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↑ウイーン市内のシュテファン大寺院の塔の上から

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↑メルク修道院の窓から見たドナウ川

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↑ザルツブルグのヴォルフガング湖の船から撮った景色

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↑ザルツブルグのモーツアルト生誕の家

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 ぬいぐるみは
 大会マスコット
 モーツアルトベアです